【メディア掲載情報】地域シンポジウム「沖永良部の近現代―沖永良部の現在―」が南海日日新聞に取り上げられました。(南海日日新聞・12/10)

令和5年12月9日(土)、沖永良部島知名町フローラル館で開催された奄美群島日本復帰70周年記念地域シンポジウム「沖永良部の近現代―沖永良部の現在―」の様子が、南海日日新聞に掲載されました。

近現代センターからは丹羽謙治センター長、西村知副センター長、伴野文亮特任准教授、日髙優介特任助教、鈴木優作特任助教が参加し、日髙特任助教、鈴木特任助教の2名が登壇しました。

(以下、令和5年12月10日付南海日日新聞1面より転載。)

島の魅力、可能性強調 地域シンポ「沖永良部の近現代」 知名町

国立鹿児島大学法文学部付属「鹿児島の近現代」教育研究センターの地域シンポジウム「沖永良部の近現代―沖永良部の現在」は9日、知名町フローラル館であった。島民参加のトークセッションを通して、「困った人がいれば助ける」「一致団結してより良い作物を作る意識が高い」「文学を育てる養分がある」などと人、産業、文学など各分野で島の魅力や可能性を強調した。

シンポジウムは奄美群島日本復帰70周年を記念して昨年度に続き2回目。3部構成で、第1部は「未来の沖永良部に向けて」がテーマ。和泊、知名両町の脱炭素に向けた取り組みや両町の20代を中心に地域振興や人材育成を目指す法人「シマスキ」の活動、島バナナを活用した起業の紹介があった。

第2部「島で暮らす人の現在」では▽島で働く若者▽島外出身者▽国外出身者―のグループに分けて座談会を開き、利点や課題を出し合った。若手のバレイショ農家として川村浩平さんは「農業分野は横のつながりが強い。沖永良部ブランドとして売り出しているので、品質向上のために農家同士が積極的に勉強会や飲み会の場で情報交換している。一致団結してより良いものを作ろうという意識が高い」と話した。

一方、人手不足が課題に挙がり、知名町役場職員でシマスキメンバーの吉田雄輝さんは「役場、シマスキでどう人材を確保して、島で働く楽しさを見いだしていけるか。島で暮らすことの楽しさ、やりがいを持った人材をどう育成していくか」と訴えた。

島外出身者として、えらぶ島づくり事業協同組合で働く2人が登壇。島の暮らしについて「スーパーや通信環境など生活水準は東京で暮らしていたときと変わらない」「都会では集合住宅の騒音、満員電車などの気疲れが積もっていたが、島で解放された」などと話す一方、情報不足による住宅探しの苦労を課題に挙げた。

島外出身者の座談会では介護職の中国出身男性と在住外国人の住みよい環境づくりに取り組むネルソン水嶋さんが対談。島暮らしの魅力や困り事を語り合った後、ネルソンさんが「海外の文化を受け入れていくことが多文化共生。外国人がもし身近にいれば、何か手伝いをして住みよい環境をつくってほしい」と呼び掛けた。

第3部は「沖永良部が生んだ作家一色次郎」がテーマ。一色に詳しい知名町役場職員の前利潔さんが写真や資料を示しながら一色の生涯や作品を紹介した後、同センター特任助教の鈴木優作さんが質問し、前利さんが答える形で対談した。

一色文学の魅力について前利さんは「作品を読んでみると、島を拒否する一方、なぜそこまでして島、両親を書くのかという葛藤がある。だから小説、文学となる。そういうところだ」と答えた。

今後、一色研究が進み、小説が読まれる事への期待について前利さんは、現在も島を題材とした小説作品が生まれていることに触れ、「島に小説の題材はある。文学の土壌は豊富。書き手をどう育てるかが課題」と述べた。

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