【メディア掲載情報】鹿児島大学国際島嶼教育研究センター第245回研究会「多様な歴史資料から考える沖永良部の近現代」の記事が、「南海日日新聞」に掲載されました(1/31)

令和7年1月20日(月)、国際島嶼教育研究センター第245回研究会「多様な歴史資料から考える沖永良部の近現代」の様子が、「南海日日新聞」に掲載されました。

(以下、令和7年1月22日付「南海日日新聞」より転載。)

鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センターは20日、第245回研究会「多様な歴史資料から考える沖永良部の近現代」を鹿児島市の同センターで開いた。奄美市名瀬の同センター奄美分室にもリモート形式で中継し、両会場に合わせて約20人が参加。鹿大法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターの伴野文亮特任准教授が講師を務め、生活者の視点に基づく新たな資料分析や研究の在り方について論じた。

伴野特任准教授は、同島の近現代史に関する先行研究は「政治経済史的な分析成果が主流だった」と指摘。個々人の経験に基づく〝民衆史〟の視点から掘り下げる研究の可能性について語った。

参考となる文献資料として、1609~1922年までの島内の出来事をまとめた「沖永良部島沿革史私稿」(操坦勁著)を解説。翻刻版には反映されていない校閲の跡から「編さんの過程や著者らの思考プロセスが分かる」とし、原本分析の重要性を強調した。

和泊町立国頭小学校が所有する戦前から戦後にかけての修学台帳や在籍簿などの価値にも言及し、「地域の一人一人が生きた軌跡をたどるのに重要な資料」と位置付けた。

このほか、非文献資料からひも解く新たな研究の視点も提案。和泊町にある「俳人山口誓子来島之碑」や国頭小の「汐干す母の像」が建立された経緯を探り、これをきっかけに島内の文化・文芸史や女性史の研究を深めていく意義があるとした。

これからの沖永良部島の近現代史は「島の生活者を主題にした研究が必要。島内外の一次資料の保存・活用が鍵となる。歴史学に限らず、さまざまな分野の視点に基づく実践が重要」とまとめた。

奄美分室会場で聴講した和田美智子さん(81)=同市住用町=は「沖永良部島出身で母校は国頭小。懐かしい気持ちになった。汐干す母の像は、塩を作って米と換えていた国頭地域の苦しい生活も象徴していると思う。女性史に関する話では、活躍された島の先輩方がいたと知り感動した」と語った。

以下のリンクから記事がお読みいただけます。

生活者視点の研究を 伴野氏が沖永良部島の近現代講義 鹿大島嶼研研究会