【活動報告】『8・6の雨音 8・6水害についての55人のインタビュー』を公開しました(7/31)

法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターは、1993年8月6日の「8・6水害」についてのインタビュー集『8・6の雨音 8・6水害についての55人のインタビュー』を公開しました。本インタビューはセンターの日髙優介特任助教によって、共通教育科目「地域コミュニティ論」の受講生と共に制作されました。50件のインタビューには貴重な災害当時の様子が綴られています。まもなく、「8・6水害」から30年が経過します。災害の記憶を伝える本プロジェクトの成果をご覧下さい。

『8・6の雨音 8・6水害についての55人のインタビュー』

PDFをダウンロードして見る

表紙イメージ
本文サンプル

はじめに

鹿児島大学法文学部附属
「鹿児島の近現代」教育研究センター
日髙優介

このインタビュー集は鹿児島大学の共通教育科目「地域コミュニティ論」を受講した学生によって作られました。2023年は199386日の「86水害」から30年です。本科目を受講している学生の全員が「86水害」を経験していません。ましてや、県外出身の学生にとっては、聞いたこともない災害です。インタビューをはじめる前に、彼らには「86水害」に関する動画を見てもらい、甲突川沿いと竜ヶ水駅にある石碑を訪ねて貰いました。その時点ではおそらく彼らにとって「86水害」は「本能寺の変」や「西南戦争」といった、歴史の出来事と同じような認識だったのではないでしょうか。しかし、実際に災害に遭った人にインタビューをして、それを文字おこしする作業のなかで「86水害」を追体験することになります。

2023
年現在、情報に溢れたこの社会において「86水害」についての記録を知ることは難しくありません。降水量や被害の程度、亡くなった人の数などの情報は明確に数字として「記録」されています。しかし、当時実際に被害に遭った人々の様子は、これらの「記録」から捉えることはできません。このインタビュー集は、そういった「記憶」を集めたものです。

当時災害に遭った人々が、現在どのようにそれを捉えているか。これについての語りを集めたのが本インタビュー集です。そのため、これは過去についての語りであると同時に、現在についての語りでもあります。
「地域コミュニティ」についての様々な課題が顕在化している今日において、本インタビュー集がその一助となることを願っています。

最後に、本調査の目的をご理解くださり、貴重な時間を割いて語ってくださった皆様に厚くお礼を申し上げます。

202386