本センターについて
「鹿児島の近現代」教育研究センターとは
鹿児島の「近現代」の教育・研究およびその成果の地域への還元
本センターは、旧藩時代から明治・大正・昭和に至る近代化に関する歴史的遺産、地域的特徴のある文化、世界に誇れる自然環境など、鹿児島の地域資源を用いた教育研究活動を推進します。
教育研究基盤整備事業と地域マネジメント教育推進事業の二つの柱を立てています。前者は文字資料のみならず非文字資料をも対象に、史的なアプローチにより研究を推進し、鹿児島の近代とは何だったのかを問います。後者は現代的な課題の解決に向けて文理融合、分野横断的に新しい技術を駆使して実践的な教育研究に取り組みます。
これらの成果を社会実装や地域イノベーション創出の形で地域に還元します。

組織図

法文学部長より

温帯から亜熱帯に広がる豊かな自然と古代にさかのぼる長い歴史を誇る鹿児島は、世界自然遺産と世界文化遺産の双方を有し、とりわけ幕末維新期より日本の近代化を牽引してきたことはよく知られています。しかしながら、中央集権化が進んだ明治以降の日本の歴史は東京を中心に語られ、そこで活躍する多くの俊才を送り出した鹿児島の歴史的な歩みや社会の変化、伝統を受け継ぐ独自の文化や慣習、人々の暮らしやそれを支えるモノや技術などについては、これまであまり注目されてきませんでした。
この忘れられた「鹿児島の近現代」に正面から向き合い、その政治や経済、社会や文化に関する諸課題に取り組むために、鹿児島大学法文学部では2022(令和4)年10月1日、「鹿児島の近現代」教育研究センターを設立し、「鹿児島の近現代」教育研究基盤整備事業と地域マネジメント教育研究推進事業という2つの柱を立てて、さまざまな取り組みを行っています。
まず、「鹿児島の近現代」教育研究基盤整備事業では、鹿児島の歴史や文化、産業、教育、生活等に関する一次資料を収集・整理し、デジタル化やデータベース化を進めて公開することを目的としています。自然災害や戦争等によって破壊され、時間の経過とともに散逸してしまう貴重な資料を継承し、誰もが容易にアクセスして活用できるかたちで提供することは、本センターの重要な使命です。
一方、地域マネジメント教育研究事業では、鹿児島が誇る豊かな自然環境や歴史的遺産、地域に根差した固有の文化や習俗を地域資源ととらえ、それらを教育や研究に活用するだけでなく、その成果を広く還元して地域社会の活性化に資することが目的です。過疎化や少子高齢化の進展、バランスの取れた観光開発と環境保護、地域経済を支える新たな産業の育成や島嶼・山間部の発展といった現代の鹿児島が抱えるさまざまな課題について、学生や教員のみならず自治体や企業、あるいは地域のみなさまとともに考えていくことで、地域社会の活性化に貢献したいと考えています。
こうした本センターの活動を推進し、この鹿児島という魅力ある地域にとって意義のある事業を展開していくためには、市民のみなさまのご理解とご協力が欠かせません。開設からまだ日の浅い本センターのこれからの歩みを導き、ご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
2025(令和7)年4月
法文学部長 藤内哲也