【活動報告】法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センター 設立記念シンポジウムを開催しました(11/23)
法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターは、令和4年11月23日、稲盛会館にて設立記念シンポジウムを開催いたしました。タイトルは「鉱山の鹿児島~近代化を鉱山から読み解く~」。本センターの教育研究の中心である「近代化」を、鹿児島に多数あった「鉱山」との関係から考えようという試みです。
シンポジウム前半の「講演」の部、最初の講演では、鹿児島大学名誉教授の大木公彦先生が、「地球からの贈り物 火山の恵み」と題して、鹿児島が鉱物資源に恵まれている理由や、鹿児島は錫や金だけでなく、鉄や硫黄、タングステンなど、多様な鉱物資源を昔から持っていたことなどを解説しました。
また、次の講演では、同じく鹿児島大学名誉教授である志賀美英先生が、江戸時代、薩摩藩営として稼働していた複数の鉱山のうち、谷山地区の錫山鉱山に焦点を絞り、その成り立ちから藩政期の運営の仕組み、それが近代化の過程でどのように変化していったのかについて解説しました。
第二部の「パネルディスカッション」では、講師二人に尚古集成館の松尾千歳館長も加わり、丹羽謙治センター長の司会のもと、さらに話を進めました。
薩摩藩の英国留学生は、鉱山開発の技術を学ぶ使命ももって派遣されたこと、島津斉彬が生きていた時代に、すでに電気を使って発破をかけ、坑道を掘り進める実験が行われていたこと、谷山の錫山では嘉永6年(1853年)に新たな鉱床が見つかっているが、それよりも10年ほど前に、すでに薩摩にはイギリスやフランスが押しかけてきていたことから、当時の大砲に使う錫の鉱脈を見つけたのはおそらく偶然などではなく、探していたからだろうということなど、鉱山と近代化にまつわる様々な話を聞くことができました。
また、パネルディスカッションの最後には、ゲストとして、五代友厚がその前身を設立した、大阪市立大学の同窓会メンバーである八木孝昌先生が参加され、鉱山王と呼ばれた五代友厚の取り組んだ公害対策と、北海道開拓使官有物払い下げ事件の真相究明と名誉回復活動についてご説明されました。
パネリスト、ゲストの先生とも、熱心に話をされ、また会場からもご質問やご意見をいただき、切り上げるのが難しいほど充実したシンポジウムになりました。
当日はWEBによる参加や当日参加も含めると、北は北海道から南は徳之島まで、130人余りの方にご参加いただきました。お忙しい中参加された皆様に感謝申し上げます。