【活動報告】センター設立1周年記念シンポジウム「五代友厚と〈鹿児島の近現代〉」を開催しました(10/29)
法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターは、2023(令和5)年10月29日(日)に、かごしま県民交流センター大ホールを会場として(YouTubeによるオンライン同時配信も実施)、藩校造士館創立250周年・鹿児島大学法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センター設立1周年記念シンポジウム「五代友厚と〈鹿児島の近現代〉」を開催いたしました。当日は、県内外から200名近くの多くの方々にご参加いただきました。
第Ⅰ部「基調講演」では、八木孝昌氏(一般社団法人日本コミュニティカレッジ講師)と井上潤氏(公益財団法人渋沢栄一記念財団渋沢史料館顧問)に講演を依頼しました。八木氏には、「五代の「弘成館」鉱山業―半田銀山をめぐって」というタイトルで、五代友厚が手掛けた鉱山業のうち半田銀山(福島県伊達郡桑折町)をめぐる取り組みについてご講演いただきました。井上氏には「近代日本社会の創造者渋沢栄一の思想と行動~五代友厚との関係に触れながら~」というタイトルで、五代と同時代を生きた実業家である渋沢栄一の思想と行動について、途中渋沢の五代評にも触れていただきながらご講演いただきました。八木・井上両氏の講演によって、五代の実業家としての個性が浮き彫りになり、「近代」の日本における五代の歴史的位置を鮮明にすることができました。
第Ⅱ部のトークセッション「五代友厚と〈鹿児島の近現代〉」では、メディアにおける「五代友厚」像の形成や、五代と鹿児島との関係をめぐる〈記憶〉の継承のあり方をテーマとして、鉱山経営や西南戦争との関わり、島津家に対する意識などをキーワードとして議論を行いました。登壇者として、上記基調講演者に加え、田中光敏氏(映画監督)、寺尾美保氏(立教大学特任准教授)、下豊留佳奈氏(郷土史家)の3名をゲストとしてお招きしました。田中氏には映画「天外者」制作にあたって留意された点など、制作時のエピソードをお話しいただきました。寺尾氏には、明治期の島津家をご研究されているお立場から、下豊留氏には郷土史家としてひろく鹿児島の歴史研究に携わっておられるお立場から、鹿児島の近現代史に五代を位置付けていく際に必要となる視座についてご提言いただきました。
本シンポジウムの開催を通じて、「近代」の日本における五代友厚の歴史的位置をより詳らかにすると同時に、今後五代友厚を研究していく際にポイントとなる認識について国内外の多くの方々と共有し、五代友厚研究の新しい地平を切り開くことが出来ました。