【活動報告】地域シンポジウム「いま水俣病を考えること 鹿児島の水俣病を撮りつづける写真家との対話」を開催しました(2023/12/2)

2023年12月2日(土)、鹿児島大学にてシンポジウム「いま水俣病を考えること 鹿児島の水俣病を撮りつづける写真家との対話」を開催しました。2時間半のシンポジウム参加者は80名を超え、本学の様々な学部学生さんの参加もありました。
水俣病は高度経済成長期に熊本県と鹿児島県で起こった社会的事件です。発生から70年が経とうとする現代においても、水俣病は私たちに様々な課題を投げかけ続けています。本シンポジウムは、写真を切り口に、水俣病をいまに伝える意味を市民と共に考える場となりました。

前半では理学部物理・宇宙プログラム中川亜紀治助教が「水俣病のおさらい」と題して講話を行いました。水俣病は幅広い世代がすでに公害として学んだ経験を持つためか、多くの人が理解したつもりになっているのではないでしょうか。講話では地理的・歴史的観点から鹿児島と水俣病のつながりを紹介し、時系列で水俣病の史実を整理することで水俣病を一からとらえ直す機会としました。

後半では写真家の小柴一良氏、南日本新聞の中野あずさ氏を迎え、法文学部地域社会コース農中至准教授の進行による対談を行いました。小柴氏は1974年から水俣病の取材を始め、現在も出水や水俣を訪ねられています。会場には小柴氏の作品5点を組み写真の手法で展示しました。胎児性の男性患者と母親が見つめ合う姿と、その患者の右手を収めた写真。男性のその手は、彼の生涯で一度も道具として使われる場面が無かったゆえに赤子のような優しい形をしています。出水市の未認定患者が部屋で座り込む姿も展示しました。これらの写真を対談の背景にしながら、モノクロ表現を大切にする小柴氏が今も追い続ける「納得のいく水俣の写真」に対する考えなどを伺いました。対談では多くの参加者からも声が上がり、登壇者とのライブ感あるやり取りが交わされました。発言には参加者それぞれの問題意識が現れ、水俣病問題が持つ多面性を示しているようでした。
最後は一般社団法人「水俣・写真家の眼」の奥羽香織氏から、写真を通して水俣病を伝える活動を紹介頂きました。奥羽氏からは「写真などの残されたものでしか水俣病を知る事はできず、一枚でも多く残すことが大切」、「未発表の写真には水俣の暮らしの息づかいが写りこんでいる」といった声をうかがいました。